𝒸𝒽𝒶𝓇𝒶𝒸𝓉ℯ𝓇 𝓈𝓉ℴ𝓇𝓎 " 𝒴𝓊𝓏𝓊𝒽𝒶 "
あの子が4歳の誕生日の日、私はあの子と出会った。
"お誕生日おめでとう!私からの誕生日プレゼントよ。大事にしてね"
"お母様ありがとうございます!!"
"なんだろ...開けてみよ!わぁ...!綺麗なお人形さん...!ありがとうお母様!"
あの子の家は日本舞踊の家元で、4歳の誕生日をきっかけに彼女も稽古をすることになった
私を柚葉と名付け、今日練習したこと、自分のできたところ、できなかった所など毎日私に話してくれた。
その姿はとても楽しそうで一生懸命で。
そんな幸せな日々が過ぎて半年後、その日は突然訪れた。
和尚さんのお経を読む声が雨の中響く。
まわりには黒い服を着た大人たち。
なかには泣いてる人もいた。
"お子さんまだ4歳なんでしょ...可哀想に"
"なんでこんなことに..."
"相手方、飲酒運転だったって..."
あの子のお母さんが交通事故で亡くなってしまった。
そんななか、お葬式中あの子は一切泣く事はなかった。
立派にお別れの手紙を読み、お葬式は終わった...。
"お母様、わたしは立派な舞踊家になり、お母様に誇って貰えるよう頑張ります。"
それからあの子はいっそう稽古に励んだ。
暑い夏の日も、寒い冬の日もたくさん稽古を重ねた。
たまにぽつり、ぽつりと雫を頬に垂らしながら。
それでも私には毎日話しかけてくれた。
私が人間だったら彼女を抱きしめてあげられるのに...。
"どうか。どうかわたしにこの子を抱きしめてあげられる力を..."
0コメント