𝒸𝒽𝒶𝓇𝒶𝒸𝓉ℯ𝓇 𝓈𝓉ℴ𝓇𝓎 " 𝒪𝓁𝒾𝓋𝒾𝒶 "
ゆらゆらと海に漂うように箱が揺れている
暫くするとそのゆらゆらは収まって今度は歩く音と共に箱が揺れる
"ただいま"
私が入った箱を持っている人がそういいました
"お父様!おかえりなさい!"
明るく可愛らしい声が嬉しそうに近づいてくる
"ほら、---、お土産だよ。"
すると視界が明るくなり、目の前には金髪の可愛い少女がいました
彼女は私を見て
"うわぁ!可愛いお人形さん!お父様ありがとう!"
そう言って彼女は私を抱きしめました
"今日から貴方の名前は『オリビア』よ!
これからよろしくね!オリビア!"
彼女の笑顔は太陽のようにキラキラと輝いていました
ピクニックにボート、ダンスのレッスンにテーブルマナー、彼女はいつも私を連れて行ってくれました
時が過ぎ、彼女は素敵なレディへと成長しました。
そして彼女は下町の1人の男性に恋をしました
彼女は彼の話をとても嬉しそうに話すのです
ですが彼女は貴族のお嬢様
旦那様が許すわけがありませんでした
"身分の違いさえなければあの方と一緒になれるのに。"
彼女は泣きながら私を抱きしめそう言いました
私は彼女になにも答えてあげることが出来なかった
"私が人形じゃなかったら今すぐにでも彼女を抱きしめられるのに"
神様にお願いをしました
"どうか私を1度だけ、1度だけ人間にしてください"
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