𝒸𝒽𝒶𝓇𝒶𝒸𝓉ℯ𝓇 𝓈𝓉ℴ𝓇𝓎 " 𝒢𝓇𝒶𝒸ℯ "
彼女と出会ったのはとてもとても寒い冬だった
その日はクリスマスイヴで、街はいつもより賑わっていた
私は箱に入ったままぽつんと公園のベンチに置かれていた
寒いなぁ、暖かいところに行きたいなぁ
そんな事を考えていると箱が開いた
目の前には彼女がいた
" 素敵なお人形さん…!誰かの落し物かしら? ……ん?"
箱の下にどうやら手紙が入っていたらしい
" このドールを拾った方へ
今日から貴方がこのドールのご主人様です
Merry X'mas 素敵な夜を______ "
彼女は手紙を読み終えると私を抱き抱えて
"きっと神様から私へのクリスマスプレゼントだわ!願いが叶ったわ!
はじめまして。私は___。貴方の名前は…そうね…グレース……!今日から貴方はグレースよ!"
そう言うと彼女は私をつれて自分の家へと向かった
彼女の部屋は割とシンプルで本が沢山あって居心地が良かった
どうやら彼女は新人の数学教師らしい
彼女は毎日私を相手に生徒に教える練習をしていた
"うーん、これだと分かりにくいかな?グレースどう思う?"
彼女は私に聞く
彼女の教え方はとても分かりやすく聞いていてとても面白かった
"グレースが喋れればなぁ…"
ある日彼女はポツリと呟いた
私がドールじゃなければ彼女の手助けが出来るのに…
彼女の役に立ちたいのに…
"嗚呼、神様、私をどうか人間にしてください"
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