𝒸𝒽𝒶𝓇𝒶𝒸𝓉ℯ𝓇 ℯ𝓅𝒾𝓈ℴ𝒹ℯ " ℒ𝒾𝓁𝒶 "


冷たい風が街を抜け、紅葉が落ち始める季節の頃、アタシとあの子はとある人形屋で出会った。

"お母さん、私あの子が欲しい!"

キラキラと目を輝かせてあの子が言った

"じゃあこの子にしましょうか!すみません、この人形が欲しいのですが..."

店主が言う

"あ、こちらですね。畏まりました。"

"おいくらかしら?"

"お代は結構ですよ。"

"え?でも…"

"私から小さな可愛いレディに囁かなプレゼントです"

"そんな…すみません、ありがとうございます。よかったわね!ほらお礼を言って!"

"うん!ありがとう!おねえさん!"

"いえいえ、ありがとうございました"

"じゃあ、帰りましょうか。"

アタシを大事に抱えて歩くあの子

どうやらこの子は、病気持ちみたい。

帰るっていっても家ではなく病院だったわ。

医者曰く、"不治の病"というものらしい。

アタシは、その後"ライラ"という名前をつけてもらった。

アタシはあの子にとってたった1人の友だちだった。

"ライラ...あたしね、絶対治らない病気なんだって。生きれても20歳までは生きられないんだって...お母さんは治るって言ってたけど、イタズラで診察室覗いたら、お医者さんが言ってたのを聞いちゃったんだ...ううっ...生きたいよぉ...これからもずっとライラと居たいよ…"

そう言って大粒の涙を零しながら私を抱きしめた

細い体で、細い腕で、力いっぱい抱きしめた

あの子はお母さんの前ではニコニコして『何も知らない少女』を演じていたの

お母さんを悲しませないために

なんでアタシは動けないんだろう

あの子の為に何もしてあげられない

名前をくれた、大切にしてくれたあの子になにかしてあげたい

アタシは毎晩月に祈った

" あの子の病気が治りますように。
そして人間になって一緒に遊べますように "

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