𝒸𝒽𝒶𝓇𝒶𝒸𝓉ℯ𝓇 ℯ𝓅𝒾𝓈ℴ𝒹ℯ " ℒ𝒾𝓁𝓎 "

おひさまが暖かく照らしてくれるいい香りがする日、私と彼女が出会った。

"忙しいなぁ...毎日忙しすぎる...もぉー！お仕事は楽しいけど忙しいのは嫌なんだよなぁ〜いくらあたしが仕事できるっていっても！！仕事をわけすぎ！！！！なのよ！！！！あぁ...癒しが欲しいなぁ"

そんなことを彼女が言ってた折、私と彼女の目が合った。

"うわぁ！！！かわいい...ここで出会ったのも運命かもしれない...でもまだ、今月お給料入ってないんだよね...取り置くこととかできるのかな..."

そう言って彼女はお店の扉へと向かった

"いらっしゃいませ"

"あの…すみません。窓辺に置いてあったお人形ちゃん欲しいんですが、ちょっとまだ買えなくて...取り置きとかってしていただけますか...？"

"あちらのドールですね、お代は結構ですので、大事になさってください"

"ほんとですか...！やったぁ...嬉しいなぁ！ありがとうございます！大事にしますね"

わたしは彼女に"リリィ"という名前を貰った。

彼女は私をいっぱい愛してくれた。

可愛いお洋服も、素敵なヘアアレンジも私のために沢山してくれた。

でも、見る度にどんどん彼女がヘトヘトになっていくのは見ていられなかった...。

"リリィの為に時間を作りたいのに、忙しすぎて全然なにもしてあげられない...わたしは沢山癒してもらってるのに...ごめんよ...リリィ"

彼女は、忙しいながらも私に毎日話しかけてくれる。

"大丈夫だよ...なにもしてあげられないなんてことはないよ。いっぱい愛してもらってるよ。そんなこと言わないで...。むしろ私の方がなにもしてあげられなくてごめんなさい..."

そんなことも、人形である私には思うことはできても、彼女に伝えるすべがない。

そう。

人形である限り私は彼女に何もしてあげられない。

ありがとうの一言も伝えられない。

"神様、どうかどうかお願いです。何を犠牲にしてでもいいからわたしを彼女の癒しに..."